みずこし動物病院

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2008年04月15日(火)

ぼちぼちフィラリア予防のシーズンです [病気に関するお話]

今年は、暖かくなるのが早いですね。
フィラリアを媒介する蚊の発生も早そうです。
今回はフィラリア予防薬のお話です。フィラリア予防薬は「予防薬」という名前で呼ばれていますが、厳密に言うとフィラリア幼虫の「駆除薬」です。
 犬が蚊に吸血されるときにフィラリアの幼虫(ミクロフィラリア、通称mf)が犬の体内に入り込んできます。体内に入り込んだ幼虫は、数ヶ月犬の体内を移動した後、最終的に肺動脈という心臓と肺の間にある大きな血管に到達し、そこに寄生します。フィラリアの予防薬は、犬の体内に入ってきた初期の幼虫を退治することによってフィラリアが犬に寄生するのを防ぎます。おおよそ1ヶ月に1回の投薬で感染をほぼ100%防げます。つまり、お薬を飲ませたらその先1ヶ月フィラリアの感染を防御するのではなく、蚊に刺されたときに体内に入り込んできた幼虫を退治するのがフィラリアの「予防薬」です。
 あくまでも「予防」という考えであれば、ある場合を除いては副作用の出るようなきつい薬ではないので早期から予防薬を飲ませても一向に構いません。しかしながら、実際の予防期間は血を吸う蚊が出始めたらお薬を飲ませていただき、蚊がいなくなって1ヵ月後まで飲ませていただくのが理想です。9月くらいで投薬を終了してしまうと結構フィラリアに感染してしまいます。何事も最後が肝心です。尾張旭市や瀬戸市では11月下旬か、12月上旬まで予防薬を飲ませてあげてください。
 フィラリアの予防薬には、フィラリアの成虫を退治する効果はありません。フィラリアが肺動脈で成虫になって、ワンちゃんに害を及ぼす前に確実にお薬を飲ませて、大事なワンちゃんをフィラリアから守りましょう。

フィラリア予防薬を処方させていただく前には必ず血液検査が必要です。ワンちゃんが知らない間にフィラリアに感染していて、血液の中にフィラリアの幼虫が存在している状態で予防薬を投与すると、血液中の大量のフィラリアの幼虫が死んだ影響で、ワンちゃんがショック状態に陥ったり、最悪ショック状態から死んでしまうこともあります。
 つい、うっかりしていて去年のフィラリア予防のお薬が残っていてもいきなり飲ませるのはやめてくださいね。とりあえず、血液検査をさせていただき、飲ませても大丈夫なのを確認してから、去年の残りから使用してください(ただし薬にも使用期限がありますのでおととしの薬は使用しないほうが無難です)。
 ワンちゃんのための予防薬がワンちゃんの状態を悪くさせていたら全くもって話になりませんよね。
 フィラリア予防薬を飲ます前にまず血液検査をさせていただくのはこんな理由があるのです。

Posted at 00時05分

2008年02月13日(水)

動物病院からのお願い [病気に関するお話]

 今更ながらですが、動物病院に御来院していただくときの病院からの飼主様へのお願いです。

1.犬:必ずリードに繋いでいただくようお願いいたします。ワンちゃんが待合室を動きまわらないようにしてください。いろんな性格のワンちゃんが来院しますので場合によってはケンカして怪我をしてしまう、あるいは怪我をさせてしまう場合があります。診察の順番までワンちゃんを自由にさせないようにリードを短く持ってお待ちください。

2.猫:必ずケージか洗濯ネットなどに入れていただくようお願いいたします。ふだんおとなしい猫ちゃんでも吠えまくる大型犬などに出会うとパニックになってしまいます。いったんパニックになってしまった猫ちゃんは飼主様でも制御不可能です。それどころか飼主さんも大怪我をする恐れがあります。開院当初「うちの子はおとなしいから、ケージなんかいらない。」とおっしゃっていた飼主様の猫ちゃんが、病院へ入る直前に逃げ出したことがありました。幸いご近所の方でしたので、3日後に無事に帰ってきて、そのあとはきちっとケージに入れていただけるようになりました。猫ちゃんのほうもケージに入っていた方が、知らないところにつれてこられた恐怖心が多少は和らぎます。

3.診察時間終了直前の飛び込み来院
診察時間終了直前の飛び込み来院、もしくは、診察時間終了数分前に電話をおかけになっての診察依頼は、できる限りご遠慮いただくようお願いいたします。
 
 もちろん本当に緊急で、動物の状態がやばそうな場合はこの限りではありませんので、遠慮なくご連絡ください。
 
 患者様の中には、動物病院は診察が終了するとそのまま休憩時間になるとお考えの方が少なからずいらっしゃいます。
診察時間外=休憩中=連絡さえすれば待たずに診察可能とお考えになられるようです。しかし、ほとんどの日は午前中診察時間が終了すると、直ちに手術が控えています。
 また夜の診察時間終了後は予定外(緊急手術など)の手術や、勉強会があるときが多々あります。診察時間終了後に直ちに手術に入ったり、病院を離れ勉強会会場へ出向くため、深夜まで獣医師が不在となる日も結構あります。
 一般の動物病院は、人間の病院と異なり少人数で内科から外科まで行い、TVに出てくるようなよほどの大きな動物病院を除けば、当直もなく(人数的に不可能です)、少人数で朝から夜まで、内科から外科(手術)までせわしなく仕事を行っています。その中で確実に外来の診察をさせていただく時間が診察時間なのです。診察時間中であれば訓練された動物看護士も受けつけもおりますので、時間外の院長1名で行う診察よりも、スムースで動物にストレスのかからない診察・治療を受けることが可能です。
 どうかこれをご覧になっている飼主様は、もし可愛い動物の具合が悪いようでしたら、時間にゆとりをもって診察にお連れください。
 長々と書いてしまいましたが、以上の事柄は何もうちの病院に限ったことではありません。他の病院に通っていらっしゃる飼主様にも参考になると思いますので、動物病院とよりよい信頼関係を築くためにも是非、ご参考にしていただけたら幸いです。

Posted at 09時37分

2008年01月20日(日)

前十字靭帯断裂 [病気に関するお話]

最近、自分が膝を痛めてしまったので、今回は膝の怪我の話です。
 ワンちゃんで時々、はしゃいだ後や段差をジャンプした瞬間、「ギャン!!」と叫んだと同時に後ろ足がほとんど着地できず、上げっぱなしになってしまい病院へ連れてこられることがあります。
 けっこう多いのが、前十字靭帯断裂と、それにともなう半月板損傷です。前十字靭帯とは膝関節の中にあり、太ももの骨(大腿骨)とその下の骨(脛骨)をつなぐ強力な靭帯です。膝に靭帯が許容できる範囲を超えた負荷がかかると断裂してしまい、着地できなくなります。
 診断は主に触診で行います。「ドロワーサイン」が確認できれば完全断裂であり、手術が必要です。
「ドロワーサイン」とは前十字靭帯が切れてしまうと、大腿骨と脛骨をがっちり固定することができなくなるため、触診のとき膝関節に力をかけると「カクン」という感じで脛骨が前方へスライドしてしまう現象のことです。
正常膝では「ドロワーサイン」はみられません。一般的に15kgまでのワンちゃんであれば無麻酔で診断できますが、大型犬やその子の性格によっては麻酔をかけて脱力させないと診断できないこともあります。このとき、膝を動かしたとき「パキッ、パキッ」というクリック音が聞こえるようだと半月板も損傷していることが多いです。ほとんどの場合、診断と同時に膝関節のレントゲン写真を撮影し、膝関節内のダメージを同時に評価します。
 一般的には放置しておくと、重度の変形性関節炎を引き起こすためできるだけ早期に手術をするのが望ましいと考えられますが、最近は手術をしない保存療法も有効であるという考えも出てきています。急性の外傷による靭帯断裂であれば手術で良好に回復します。ただし、もともとの関節炎や内分泌疾患の影響で、靭帯が脆弱になった結果の断裂では、手術したのに歩様状態はいまいち改善されないこともあるので要注意です。
 手術法はさまざまです。残念ながらどの手術を行っても多かれ少なかれ、膝の関節炎を引き起こします。手術の目的はできるだけ早期に膝の機能を回復させることと、少しでも関節炎の進行を軽度にすることです。
 手術方法はとてもたくさんあります。現在は、今までやられてきた手術方法と新しく考案された手術法の過渡期であり、どの手術方法がベストかわかりません。
 最近まで、前十字靭帯断裂で半月板損傷を併発している場合、可能な限り損傷した半月板を除去することが推奨されてきました。実際、私が手術をする際は損傷した半月板と切れた靭帯はできるだけ丁寧に切除しています。しかし、最新の知見(2007.12月 獣医畜産新報)では、半月板を切除すると残った半月板に大きな負荷がかかり、結果的に関節炎を助長すると書かれています。しかしながら、出所は忘れましたが、犬では半月板をすべて切除しても問題は起こらないと書かれているものもありました。
 半月板ひとつとっても、諸説がありますので手術方法のバリエーションの多さは推して知るべしです。
 実際やっている先生は各々が、自分の術式がベストと考えています。うちではいまのところ、昔からやられていて治療成績のよい関節内法であるオーバーザトップの変法と関節外法の脛骨・外側ファベラ締結術の併用を行っています。数年後にはまったく異なった術式を行っているかも知れません。
 更に、最近では人間と同様、術後できるだけ早期のリハビリテーションが、機能回復に重要であると言われてきています。手術して「はい、終わり。あとは時間が治してくれるでしょう。」というのではないようです。術後、ひたすら安静というのは時代遅れのようです。
 内科分野もそうですが、整形の分野もどんどん治療に対する考え方が変化してきているので、より治療成績が良く、動物に負担がかからない治療法を選択していかなくてはなりません。

Posted at 08時33分

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