2008年05月17日(土)
さよならジャック [院長日記]
今日の昼間、大事な相棒のR.レトリバーのジャックが永眠してしまいました。
3月上旬に突然具合が悪くなりました。諸検査の結果、腹腔内への出血性ショックとわかり、急遽手術をしました。脾臓破裂による大出血でした。病理検査の結果は血管肉腫という最悪のものでした。体力の回復を待って抗がん剤を投与していましたが、とうとう今日力尽きてしまいました。
うちが開院してから5年ほど、ジャックは緊急時は供血犬となり数多くのワンちゃんの命を救ってきました。うちの病院には欠くことのできない非常勤の動物スタッフでした。
5月に入ってすぐふたたび体調を崩したのですが、原因は癌の転移と出血でした。いままでたくさんのワンちゃんに供血してきたジャックが、貧血で苦しいのは忍びなく思い、うちの「きなこ」から350ml輸血しました。
いったんは元気が出かけたのですが、とうとう今日、天国へ行ってしまいました。ジャックのことを思い出すと不覚にも涙が出てきてしまいます。
今日のブログは、私とジャックの世界に浸らせてください。
「ジャックへ。
君を連れてきたことを昨日のことのように思い出します。
たくさんの兄弟犬の中から、一番気のあいそうだったのが君でした。桑名から瀬戸へ連れてくる間中ずっと尻尾を振っていたね。大人になっても、君は優しいままでしたね。
いつ、何時に実家にいっても尻尾を千切れんばかりに振って大歓迎してくれましたね。
何回も、他のワンちゃんに供血をするときも、嫌な顔一つせず、協力してくれたね。君には感謝の気持ちでいっぱいです。
君が病気で倒れたとき、自分ができることは全てしてあげようと思いました。でも、相手が悪すぎました。どんだけ勉強しても、どんだけ頑張っても、悪性腫瘍には勝てません。
最後のほうは、ものすごく体力的に辛かったはずなのに、いつ行っても、体をおこし、尻尾を振ってくれたね。えらいから寝たままでいいよ、といっても律儀に尻尾を振ってくれたね。仕事があるので帰ろうとすると、もっとなでてよ、と言うように、何度も何度もお手をしていたね。診察が暇なシーズンならば、ずっとそばにいてヨシヨシしていたかったです。
ほんとに君はがんばったね。最後までいい子でした。
何十年か先に自分が、年老いてあの世に行ったとき、またいっしょに遊ぼうね。またこっちをみて嬉しそうに尻尾を振ってくれるかな。もし、生まれ変われるのであれば、またうちの家族になってね。」
これまで、自分の人生に大きな影響を与えてきた動物たち、自分が獣医になるきっかけとなった初代ジャック、学生時代に苦楽をともにした猫のシロ、もう、今はこの世にいませんが、みんな、みんな大好きでした。一生自分の心から消えることはありません。みんなのお陰で今の自分があります。みんなを思い出すと頑張る力が出てきます。
血管肉腫とわかった時点で獣医としての自分は冷静に「そんなに長くないな。」と理解しつつも、いざ自分の相棒がいなくなってしまうとこんなに寂しいことはありません。心の整理をするのにしばらく時間がかかりそうです。自分でさえこんなんですから、実際一緒に生活していた両親はもっと悲しいことでしょう。理屈では「癌ならしょうがない」と理解しつつも、実際、いなくなってしまうと、本当に寂しい限りです。世の中の飼主さんはみんな、こんなに辛い別れを経験されているのですね。
ジャック、今までありがとう。君の事、大好きでした。
Posted at 23時52分