2007年03月13日(火)
腸閉塞(嘔吐しまくり) [病気に関するお話]
腸閉塞(腸の中身が通過しないため問題が起きた状態)になったら開腹手術が必要です。
診断がなかなか難しいです。共通した症状は嘔吐ですが、ものによっては下痢を伴う場合があります。
嘔吐の原因となるものは、
1.胃腸炎・・・数日の対症療法で回復します。
2.急性膵炎・・・重症だと命取りになります。
3.ウイルス感染・・・パルボウイルス、コロナウイルスなど重症だと命にかかわります。
4.中毒
5.肝障害、腎不全・子宮蓄膿症・尿閉など
6.異物による腸閉塞
7.消化管の腫瘍
8.炎症性腸疾患 などさまざまです。
ほとんどが1の急性の胃腸炎であり、数日の対症療法で回復します。
うちの病院の進め方としては飼主さんのお話をお伺いしながら、ほとんどの場合血液検査をさせていただき、基礎疾患(他の病気から嘔吐が起こっているのではない)が無いか確認しつつ、数日間対症療法をさせていただきます。胃腸炎であれば、ほとんどが数日で回復しますが中には全く治療に反応しないケースが有ります。
こうなるとレントゲン撮影です。とりあえず2方向から撮影させてもらいますが、ほとんどの異物がレントゲン写真にはっきり写りません。金属、骨、石ぐらいしかレントゲン写真には写りません。
そこでバリウム検査の登場です。
動物にバリウムを飲ますのはなかなか大変ですが、そうも言っておられません。飲ませたバリウムが半日ぐらいできちんと直腸まで到達すれば問題ありませんが、バリウムが途中から流れない、流れるのに時間がかかりすぎる、流れるが腸の形が変わらないようですと手術決定です。
お腹を開くとたいてい何か出てきます。
今年になってから2件ありました。珍しく猫さんが2件続いたのですが1件は2cm四方ほどの木片でした。ころころ転がして遊んでいるうちに飲み込んでしまったようです。もう1件は飼主のお姉さんのストッキングを飲み込んでいました。この猫さんは普段から布や靴下やストッキングをかじる癖があり、病院に2〜3日前から吐きまくっていたので来られた翌朝にすぐバリウム検査を行い、昼に開腹手術でした。
結構、飼主さんの予期せぬものを飲み込んで問題が起こっていることが多いので、ワンちゃん、猫ちゃんが嘔吐するようならとりあえず、診察を受けていただくことをお勧めいたします。
ちなみに、今まで私が異物による腸閉塞で取り出したものは、
梅干の種、桃の種、スーパーボール、軍手、雑巾、タオル、ストッキング
女性の生理用タンポン、とうもろこしの芯、アイスクリームのバー、じいちゃんの目薬丸ごと、ウォークマンのイヤホン、焼き豚をつつむネット、骨付きの肉、石、串かつの串、ペットシーツのゲル(消化液を吸って小腸でパンパンに膨らんでいました)、木片、自転車カバー、ビー玉など思い出したらキリがありません。異物をかじる子は腸閉塞に注意してくださいね。
Posted at 16時07分
2007年03月07日(水)
寒いっす [院長日記]
きのうからまた寒いっすね。
冬に逆戻りですね。
昨日の夜、ひさびさに名古屋港の船をチャーターし、海のルアー釣りを堪能する予定でした・・・・・・が、しかし今回もまた強風のために中止になってしまいました。1月は台風並みの爆弾低気圧で中止、今回も春の嵐になってしまいました。どうして火曜日の夜に限って悪天候になるのでしょうか?
もともと晴れ男だったはずですが、最近どうも不調です。
うちの妻は昔から雨女と言ってました。そういえば、所帯を持って9年目ですが、ここ数年どこか出かけようとすると悪天候のような気が・・・・・・
思い返すと、結婚式当日まで快晴だったのですが、翌日から1週間雨でした・・・・近くに雨風を引き寄せる人がいるようでは仕方ありません。
結局、名古屋港の陸っぱり(岸から釣ること)に行ったのですが、あんな悪天候の中、いつものポイントにはすでに先客がいました。
この寒い中、物好きな人がいたものです・・・・って自分もそうじゃん。
仕方ないので、先客の邪魔にならないように対岸に入り、釣り始めました。20分ほどしたら待望のアタリです。すかさずあわせて糸を巻くと40cm弱のシーバス(セイゴ=スズキの小さいやつ)が釣れました。今年、陸っぱりでは初ヒットです。そのあと1時間ほどやったのですが魚っけがない(釣れそうな感じがしない)ので、今日は1匹釣れたので満足と、竿をしまい帰ってきました。先客の釣り人はまだがんばっていました。この人も釣れるといいのですが。
次回こそは船から釣るぞ!!
Posted at 09時06分
2007年03月04日(日)
休みのようで休みじゃない [院長日記]
うちの病院は皆さんご存知のように日曜日は午後休診です。
それでは午後から遊んでいるかというとそうでもありません。
今日は所属している愛知県獣医師会の「愛知県獣医師会学術研究発表会」でした。
なんて堅苦しい名前なのでしょう。中身も堅苦しいですが・・・
一昨年に続き、今年も県獣のお偉いさんから声がかかり、発表する羽目になりました。もちろん公式の会なのでスーツ着用です。普段の仕事は動きやすいようにジーンズをはいている私にとってスーツは窮屈この上ありません。首のネクタイがワンちゃんの首輪とリードに思えてしまいます。
小動物分野では6つ発表があったうちのひとつをやらせていただいたので、声をかけていただけること自体光栄なことなのですが、やっぱり気疲れしますね。ようやくビールと焼酎をぐびぐびやれる時間となり、リラックスできました。
来週はまた午後から所属する学会の集まりがあります。
ゆっくり子供の相手をする時間も有りません。子供が春休みに入ったらしっかり遊んでやらなくてはと思います。
病院長とは診察以外にもやることがいっぱいあり忙しいものなのです。
Posted at 21時22分
フィラリアの予防の話 パート1 [病気に関するお話]
今年は異常に暖かいので、飼主様のほうから「フィラリアの予防はしなくていいのか?」と問い合わせを受けます。結論としては
「まだ飲ませなくて良いです。」
フィラリア予防薬は「予防薬」と言われていますが、厳密に言うと予防薬ではなく「幼虫駆除薬」です。つまり、投薬してから1ヶ月先までフィラリアの感染をシャットアウトするのではなく、蚊に刺されて体内に中に入ってきたフィラリアの幼虫を1か月分まとめて退治するのです。
つまり、吸血する蚊が発生し始めるまではフィラリアの予防薬を投薬する必要はありません。尾張旭市であれば、5月から11月末もしくは12月上旬まで年間7〜8回飲ませていただければOKと思われます。
あわてて早い時期から投薬するよりも、その分蚊がいなくなった1ヶ月後までしっかり投薬したほうが予防としては意味があります。だだ今年は異常に暖かいので4月末ぐらいから予防されても良いかもしれません。
もちろんあくまでも予防薬という観点で考えれば、フィラリアに感染していなければ副作用もほとんどありませんので、心配な飼主様は今からフィラリア予防薬を投薬されても一向に構いません。
ちなみに私が勤務医をしていた桑名犬猫病院では長島町の患者様も多く来院されていました。長島といえばそう、長島温泉があります。温泉地では通年のフィラリア予防が必要です。
Posted at 00時25分
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