2010年12月25日(土)
安い=良心的? [院長日記]
世の中の不況が叫ばれる昨今、TV番組などでよく商品やサービスなどが安いことと同義語で良心的という言葉が使われています。
果たして本当に安いことは良心的なことでしょうか?
一例を挙げましょう。(YAHOO!JAPANニュースより引用)
※レーシック手術:視力矯正手術のひとつ。きちんとした施設できちんと手術を行えば近眼用メガネがいらなくなるのでかなり有用と思われる。
100人以上ともいわれる多数の被害者を出した銀座眼科(東京都中央区、閉鎖)のレーシック手術。警視庁築地署捜査本部は業務上過失傷害容疑で元院長、溝口朝雄容疑者(49)を逮捕。異例の強制捜査に踏み切った理由は、「医師として、あるまじきずさんで無責任な衛生管理」(捜査関係者)だからだった。「セレブ」を目指していた元院長。器具を滅菌しないで時間を短縮、患者の回転率をあげるという効率重視の姿勢は医師の倫理を感じさせない。患者を“カネのなる木”にしか思っていなかったようだ。
この病院はレーシックの手術がかなり廉価で行われていたようです。レーシックの手術費用が約10万円〜50万円とされる相場の中で、この眼科は最も低い手術費用が9万5千円〜10万5千円といった価格帯だったようです。
価格のしわ寄せは手術で最も肝心な「清潔な器具を使用して清潔な手術を行う」というところに来ていたようです。
具体的には刃の交換や滅菌せずに被害拡大。マイクロケラトーム(手術器具)の刃は1枚1万円から数万円するそうですが、約10万円の手術費用の中では大きな経費になります。これを繰り返し使用することでコストを浮かせていたようです。しかも、高圧と蒸気で手術器具を滅菌する滅菌器「オートクレーブ」も集団感染発生直前の20年8月には使用を停止したようです。「オートクレーブ」を1回使用するのに40〜50分ほどかかります。
うちのような動物病院でも手術をする場合、手術器具と手術着をオートクレーブにかけるので1つの手術の準備で少なくとも2時間弱はかかります。
この病院はオートクレーブで滅菌する時間がもったい無かったんでしょうね。その分の時間で手術ができてしまいますからね。
繰り返しますが、本当に
安価=良心的 なのでしょうか?
医療業界に限らず、どんな商品にも安売りには必ず裏があるはずです。 と私は思っています。
Posted at 17時45分