2010年10月26日(火)
獣医はビジネス? [院長日記]
某ドラマで「獣医はビジネスだ」というくだりがあったそうです。私はそのドラマを見ていませんが、先日獣医師仲間で飲んでいた時その話題が出ました。
獣医療はビジネス?
結論からいうと獣医療はビジネス(経済活動)以外なにものでもありません。
獣医師という仕事は決して趣味やボランティアでやっているわけではありません。皆様が働きに出て給料をもらって生計を立てているように、私たち獣医療従事者は、獣医療サービスで生計を立てています。獣医療は世間一般で言う「サービス業」に分類されます。
ほとんどの動物病院には獣医師以外にスタッフが勤務しています。スタッフを雇っている以上、給与を支払う義務があります。診察時間終了後(勤務時間外)の仕事には当然「時間外手当」が必要となります。うちが、診察時間外の診察時にいただく「時間外料金」は人件費やエアコンや医療機器の電気代などに充てています。もちろんかかった人件費すべてを時間外料金としていただいているわけではありません。
また、動物病院がより確実でより安全な獣医療サービスを飼い主様に提供するためには、古くなった医療機器を更新し、新しい機器を導入していかなくてはなりません。待っていても医療機器が買える訳ありませんし、誰かがプレゼントしてくれるわけでもありません。新しい医療機器を購入するにはそれなりの「利益」を上げていかなくてはなりません。
勉強会にしても、タダで聞けるのは新製品を紹介する企業セミナーくらいなものです。ほとんどのセミナーで1日5千円〜1万5千円ほどかかります。獣医師が東京に泊まりで2日間連続のセミナーに行くとセミナー費用・交通費・宿泊費などとそれなりに費用がかかります。
飼い主様からお支払いいただいた診察料をもとに勉強させていただき、そこで得た知識をまた診察に生かすといった具合です。
人の病院は公的な補助があったり、自治体が経営する公立病院があります。つまり人の医療には税金が投入されています。反面、あたりまえのことですが、小動物獣医療は、税金など投入されるわけではなく、すべて病院がその規模に応じて経営をしていかなくてはなりません。一般の中小企業と同じで、経営が傾いたところで誰も助けてくれません。銀行や某航空会社のように税金が投入されることもあり得ません。
ここが、人の医療と獣医療が一見似ているようで全く異なる点です。
一番最初に「獣医療はビジネスです」と言ったのはそういう意味なのです。
「病院の診察レベルを向上させつつ、スタッフの人件費、設備投資などバランスを取りながら診察料をいただいていくこと」とは ビジネス(経済活動)そのものですよね。
フェラーリーに乗っているようなTVで有名な先生もいらっしゃいますが、世間一般が考えるほど動物病院は儲かりません。
うちは1年の決算でゆとりがあると、すぐ新しい医療機器を導入してしまいます。もちろん、ゆとりが無くても導入してしまうこともありますが(笑)。
Posted at 09時33分