2007年12月12日(水)
人間の救急受け入れ拒否について考える [院長日記]
今日は賛否分かれる話題です。
最近、救急車から、緊急患者さんを病院に搬送の連絡をしたにもかかわらず、断り続けられた結果、最悪の結末になってしまい、医療機関が一方的にたたかれていることが多いですよね。
医師と獣医師、立場こそ違いますが、医療に携わるものとして少し思うことを述べさせていただきます。
医療機関が夜間の緊急の受け入れを拒絶する傾向になったのは、最近の「治療がうまくいかなかったら、何でもかんでも医療ミスにして訴えてしまえ」という世間の風潮、マスコミの姿勢のせいの気がしてしょうがありません。
たとえば、自分の専門外でも「緊急の患者さんがいらっしゃるから、自分のやれることはやろう」と思って、その時点でその医師は、その時点でできる最善の処置をしてつもりでも、結果的に治療・処置がうまくいかなくて患者さんが亡くなってしまった場合、「専門外のものが診たから死んだ、医療ミスだ」と訴えられて、莫大な損害賠償を請求され、下手すると刑事事件で殺人罪や、業務上過失致死に問われてしまいます。急患さんが困っているから何とか自分が力になれないだろうか?と親切心を出したら、訴えられてしまうような世の中だったら、だれも自分の専門外は手の出しようがありません。
最近、緊急の患者さんの搬送が断られることが多く、問題になっているのは、世の中の風潮のせいの気がしてしょうがありません。医師なら誰しも、やろうと思って医療ミスをするはずありません。「これがベストだ」と思ってやったにもかかわらず、後になって、「ミスだ!訴えてやる。」と言われたらもう何もできません。
最近産婦人科のなり手がないというのも、リスクの多い分野だけに無理のないことかもしれません。
いずれにせよ、最近の医療機関への一方的な批判を見かけると、医療に携わるものとしてつい、違和感を覚えてしまいます。
皆さん、忘れてませんか?
医者だって自分と同じ人間なんです。休みも寝る時間もリラックスする時間も必要なんですよ。医者は決して特別な人間でもスーパーマンでもないんです、と私は思います。
ほかの動物病院の先生のことは、わかりませんが、中には深夜も平気で診察ができる獣医師もいるかもしれません。
残念ながら、少なくとも私は「24時間いつでも獣医師でいろ!!」といわれても、申し訳ありませんが無理ですね。
一人の人間として家族との時間も大事にしたいし、釣りに行ったり、飲みに行くも時間もほしいです。プライベートが充実し、精神状態が安定しているからこそ、普段の仕事がミスなくしっかりできるのだと思います。
私は決して無理することなく自分のペースでじっくり丁寧な診察をしていきたいと考えています。
Posted at 18時14分