2010年05月14日(金)
ひとりごと [院長日記]
同じ仕事を長年続けていくためには「マイペース」ってとても大事なことだと思う。
しかし、たまには自分を鼓舞して限界近くまで「頑張る」ことも大事だと思う。
あまりにもマイペースでゆったりやってると世の中の進歩に取り残されてしまうからね。
Posted at 00時58分
2010年05月11日(火)
狂犬病予防注射を考えるパート3 [病気に関するお話]
今回は狂犬病予防注射も含めてワクチン全般の問題点です。
ワクチン接種は、体内に病原体を注入することによって体に抵抗力(抗体)をつける仕組みです。
もちろん、ワクチンに用いる病原体(ウイルス)は、病気を引き起こすものと同一ではありません。
もともとの病原体(ウイルス)を生きた細胞で何代も培養して、病原性が極めて弱いか、病原性が無くなったものをワクチンとして用います。これを生ワクチンと呼びます。それに対して病原体(ウイルス)を殺して(不活化といいます)、病原体(ウイルス)の構造の一部をワクチンとして使用するものを不活化ワクチンと呼びます。
一般論ですが、生ワクチンはウイルスが生きていますので、ワクチン効果が大変高く、抗体の上昇も良好であると言われています。ただし、ごくごく稀なケースですが、ワクチンウイルスが病原復帰性を持ってしまうケースがあるようです。もちろんワクチンメーカーはワクチンに使用する継代培養したワクチンウイルスが病原復帰性が無いことを確認しているにも関わらずです。
それに対して不活化ワクチンはウイルスは死んでいるので病原復帰性はあり得ませんのでかなり安全と考えられます。しかし、その反面、抵抗力をつける効果はいまいちと言われています。そのジレンマを解消するために「アジュバント」と呼ばれる免疫系の刺激を高めるものが添加されています。不活化ワクチンの場合はこのアジュバントが問題となるようです。ちなみに狂犬病ワクチンは不活化ワクチンです。
残念ながら狂犬病ワクチンも伝染病の混合ワクチンでも毎年、ごく僅かながらワクチンが原因と考えられる事故が起こっています。
重症例ではアナフィラキシーショックによる死亡、軽症例では嘔吐、顔面の腫脹などです。
幸い私は狂犬病ワクチン・伝染病ワクチンを含めてアナフィラキシーおよび死亡には遭遇しておりません。しかし、顔面が腫れあがってしまうのは毎年何回か経験します。
大事なことは、ワンちゃんの体調と相談しながらワクチン接種をすることが重要です。
1.体調に不安がある時はけっして強引にワクチンをうたない
2.ワクチンをうつ場合は可能な限り午前中早い時間に(9:00〜10:30)に接種する。
3.飼い主さんが1日ワンちゃんの様子を見ることができる日に注射する。
ワクチンがきっかけで体調を崩すことは絶対に無いとは言えません。体にない異物を体内に注入するわけですから、過敏反応が起こっても不思議ではありません。
人間の場合でもワクチン接種と副反応の問題は必ずいつも出てきます。副反応に過敏になって予防接種を中止すると、そのあとワクチンを中止した世代で特定の感染症にかかりやすくなったり、いろいろワクチンを接種していないことによる問題を生じます。
しかし、ワクチン接種後に具合が悪くなるのは非常にまれなケースです。
伝染病に感染してから慌てても遅いのです。ワクチン接種そのもののリスクよりも、ワクチンを接種していなくて伝染病にかかってしまうリスクのほうがはるかに高いと思われます。狂犬病に関しては何度も言うように、清浄国を維持すること重要なのです。
かかりつけの獣医師と十分相談しながら、より安全なワクチン接種をしていきましょう。
Posted at 18時56分
2010年05月07日(金)
クロ永眠 [院長日記]
とうとうこの日を迎えてしまいました。
我が相棒のクロが一足先に天国へ逝ってしまいました。推定で15〜16歳でした。
去年の11月に危篤状態になったため、家族みんなに万が一の時の心の準備をしておくように言い聞かせてありました。その時は、集中的な治療で、何とか状態は上がってつい数日前までご機嫌な状態で暮らしていました。しかし、昨晩とうとう力尽きてしまいました。
クロは、私が大学を卒業し獣医師として就職をするときに一学年上の先輩が実験で使わなかった(まだ体が小ぶりで実験に使用できなかった)猫を譲りうけた子でした。
言ってみれば、嫁よりずっと付き合いの長い相棒でした。私がまだ駆け出しのころから、数年前に亡くなってしまった猫のシロとともに私を支えてくれていました。
つい最近まで、夜中の手術が何時に終わっても、また、夜中に魚釣りから帰ってきても、必ず出迎えに来てくれていました。朝は目覚ましがなるまではじっとしていて、目覚ましが鳴っても私が起きないと腕にすり寄ってきて起こしてくれました。
夜、晩酌をしていると、必ず私の近くに座って機嫌良く喉をごろごろ鳴らしてお伴をしてくれました。
病院が開院した当時は、クロもまだ若かったので、何度も輸血のドナーとして活躍してくれました。
そんな、クロでしたが病気(腫瘍)には勝てませんでした。
今日は幸いにも、病院の診察が朝イチから大忙しだったたため、悲しみに浸る間もありませんでした。しかし、夜になって入院の動物の様子を見ていると、ついクロの事を思い出してしまい、目の前が涙で曇ってしまいます。
子供たち3人には、いつクロが天国へ旅立ってもいいように心の準備をしておくようにと偉そうに言ったのに、一番心の準備ができていなかったのは、どうやら自分だったようです。
いつもクロのいた場所に、いつものようにクロがいない・・・・・・・心の整理をするのにしばらく時間がかかりそうです。
写真は若かりし頃のクロです。
Posted at 00時15分
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