2007年08月10日(金)
説明することの難しさ(2) [院長日記]
前回に引き続き説明することの難しさのお話です。
ほんとにいろんな病気がありますよね。簡単に診断がついて数日の投薬や1回の手術で治るものはそんなに説明に苦労することはありません。
問題は、治らない病気もあるということです。
「治らない病気を飼主様に治らないと理解していただく」
これがホントに難しい。
飼主様としては病院に連れて行く以上ペットの病気は治って当然と考えますよね。しかし、思っている以上に治らない病気はあるのです。
1.アレルギー性皮膚炎・アトピー性皮膚炎
2.自己免疫疾患
3.腎不全
4.犬の糖尿病
5.心臓病
6.てんかん
などいくつでも出てきます。この中には確定診断にいたるまでに、さまざまな検査および高額な検査費用がかかってしまうものもあります。
じっくり話をお聞きいただいて、納得していただいた上に検査を進め、診断まで行くケースでは、治らないなりにも、より状態を良くする治療が可能となり、病気のコントロールができることが多いのです。
しかしその反面、数回の通院では診断までたどり着かず、結局
「何回か行ったけど治らない」
と転院を繰り返してしまうケースもあります。
セカンドオピニオンはとても重要で、いま動物になされている治療がスタンダードなものなのか判断するのに有用です。
しかし、主治医がしっかりとした診断、治療計画を考えているにもかかわらず、少しばかり、治らないからといって飼主様が次々に転院を繰り返されると、ますます正確な診断・治療までの道は遠くなってしまいます。
治らない病気の場合は医者を変えても治りません。飼主様のほうにも忍耐と根気が必要になることが多いです。獣医師と飼主様ががっちりスクラムを組んで治療に当たることが大事です。
セカンドオピニオンとは決して、自分が医者の言うことが気に食わないから、自分の都合の良いことを言ってくれる医者を探すことではありません。
現実問題として、飼主様側が受け入れなければならない事実は、事実として受け入れる覚悟も必要です。
獣医師は病気や治療の内容を簡潔明瞭にしかも優しく(易しく)説明する義務があります。けっして説教口調ではダメです。
獣医師を含めて、「先生」とよばれる仕事は、たまたまやってる仕事が専門的なだけであって、人間的には偉くもなんともないのですから。
どこぞの大物政治家のように「言葉は簡単だが、意味はわからん」
ではいけません。
あ〜あ、ほんとに説明って難しい!!
Posted at 17時31分