2007年11月20日(火)
10才過ぎたら腎不全に注意 [病気に関するお話]
腎不全をご存知でしょうか?
腎臓は、体のいらないもの、老廃物を尿として排出する機能を持っています。
機能のしっかりした腎臓は、少しの水にできるだけたくさんの老廃物を溶かし込む、すなわち濃い尿を作り出すことができます。
水分を摂取しすぎたときは薄い尿が出て、大量の汗をかいたりして水分が不足がちなときは色とにおいのキツイ尿が作られるのは誰もが経験的に知っていることと思います。
しかし、年をとって腎臓の機能が落ちてくると、尿を濃くする能力、濃縮能が衰えてきます。
たとえば、今までは1日500mlの水分で体の老廃物を溶かして排出できていたのが、年とともに腎臓の濃縮能が落ちてくると、これまでと同じだけの老廃物を排出するのに1000mlもしくは、1500mlといったよりたくさんの水分を必要とすることとなります。
この時点ではまだ、やたら水を飲むというだけで、食欲や元気もあるので、なかなか病院へ連れて行く気にならないかもしれません。しかし、腎不全の治療が一番肝心なのは、この初期の元気なうちです。なんでも食べてくれるうちに、腎不全が見つかれば、腎臓になるべく負担をかけない食事を使用することにより、腎不全の進行をゆっくりにすることが可能です。
血液検査で腎不全と診断がつく場合、残念ながら病気としては中・後期から末期であることが多く、はっきりいって有効な治療時期を逸しているといえます。
血液検査で異常が見つかった腎不全の治療のメインは脱水症状の緩和のための定期的な点滴と時々起こる消化器症状(下痢・嘔吐)に対する対症療法、飲み薬が飲めれば、活性炭製剤の投与などです。
腎臓というのは、ご存知のように左右2つあります。腎機能がしっかりしているうちは1つなくても十分生きていくことが可能です。もともともっていた機能の1/4以下になってはじめて血液検査に異常が出ます。つまり血液検査で判明した時点ではかなり腎不全が進行しているのです。
血液検査では異常はないか、もしくはごくわずかな異常値で、水をたくさん飲んで尿をたくさんしているが食欲元気もあるうちに、食事療法をスタートするのが重要です。
現在のところ、人間のように人工透析や腎移植は現実問題、動物では実施が難しいですからね。
年をとってやたら水を飲みだしたら、腎不全以外に重大な病気はたくさんあります。
元気なうちに診察を受けていただくようお勧めいたします。
Posted at 15時45分